その日(今日)僕はアコギのケースを背負い、8両編成の各駅停車に乗った。
駅1つ過ぎたか、2つ過ぎたかってあたりで携帯の着うたが車内に響き渡った。
「おいおい、あかんやろ、それ」
僕だけでなく、乗車率80%(ちょいと待て。乗車率って椅子の稼働率を指すんか?車内の容積(床面積か!?)満たし率を指すんか?とりあえず後者で)の夕方乗客の多くが皆一様にそう感じただろう。
「分かったから、はよプチッとやりなって」
一向に消えないその楽曲は、はて?まさか僕の曲のように思えてきた。
思えてきたら早い早い。
まさしく僕の曲なのである。
威勢よく鳴り響いているのである。
「電車でオレの曲かよ。やったー!」
なわけもなく、どう考えても僕の所有物から出ている音らしいのである。
ソワソワ。
立場ないでやんす。
(いまどき)MDウォークマンからかと疑るも、ヘッドフォンは首にからみつき、音の発信源はもうちょい下なのである。
あぁ、明らかにオレの曲が流れている.....
アコギのケースにいくつかあるポケット(?)の1つにシールドやらなにやら入っているが、そこがいかにも怪しく、開けてみた。
そんなときに限って、やけに底が深く感じる。
手探りで探ると昨年末に買ったEdirolのレコーダーが出てきた。
こいつか!
見るも、電源はOFFである。
というより、2秒ほど冷静になると、こいつには外部へ音を発する内蔵スピーカーなどないことに気づく。
もうあれしかない。
と思った瞬間、そのあれとはICレコーダーなのだが、曲作り用に使ってるのでギターを部屋で弾きながら、「レレレのレー」とか歌ってたりするかなりやばい、キワモノものなのである。
この状況で「レレレのレー」が登場したら、100歩譲って変態である。
モノが特定できながらなかなか到達できない焦りを乗り越え、電源OFFに。
常にHOLDにしてあるICレコーダーなのだが....無念である。
ちなみに鳴っていたのは、部屋でMD(自作曲の自分アレンジのオケ)流しながら、ある箇所のメロディを変えるべく、歌っている(もちろんマイクとかでなく生で)のを録音したもので、ギリギリである。
というかギリギリである、と思いこんでみた。
「レレレのレー」でなかったことが唯一の救いか。
まったく同じネタをここと別の場所でいずれもスクラッチで書いてみた。
意味があるかないかは問題ではない。
それが僕のアホなこだわりの1つなのである。