さてさて、一旦終焉を迎えたVQ1005 の真相ですが、予告通り番外編をお届けします。
画像(写真)データに記録されている EXIF にはカメラによっていろいろなデータがあるわけですが、これまでは VQ1005 と Genie III の撮影日がどの写真も同じ(VQ1005 は 2006/7/5、Genie III は 2006/3/13)だ、ということで EXIF を取り上げてきましたが、今回はメーカー、カメラ名に着目してみます。
「いやいやいや、メーカー名、カメラ名ってキミ.... VQ1005 とか、Genie III でしょ、そりゃ。」とお思いになるのも無理はないんですが実は違うから話がややこしい(だからココ作ってるわけですがw)
例えば、筆者所有のデジカメ SONY サイバーショット DSC-T10 やケータイ Vodafone(まだ?) 702NK(世界的には NOKIA6630)で撮影した写真の EXIF ではこのようにメーカー、カメラ名が正しく記録されています。
※ EXIF はフリーソフトなどで Mac、Windows ともに見れますし、ネット上でも Flickr にアップすれば即見れたり、そういうプログラムが配布されていたりするんで興味ある方は探してみてください(無責任みたいですが、オススメとかよく分からず...)
他のデジカメでも同様、メーカーとカメラ名が記録されていると思います。
VQ1005/Genie III の EXIF には普通に考えれば本来以下のように記録されてるんじゃないかと想像できるのですが....
実際は VQ1005 も Genie III も以下のようになっています。
※冒頭でも記載した通り、撮影日が異なりますので、両者まったく同じというわけではありません。
これは、SQ tech 社製の「SQ908 MEGA-Cam」というカメラで撮影した写真ですよ、ということを意味するわけです。
SQ908 といえば....以前お伝えしたように VQ1005/Genie III に使用されている台湾 SQ Tech 社の描画チップなわけです。
チップとかいうと難しそうですが、デジカメの写りを決めるモノ、とでもお考えください。つまり、VQ1005 や Genie III の○○っぽい!、だとか、性能のいいそのへんのデジカメと違い、この景色こんな色だっけか!?という頼もしい写りをもたらしてくれるのはこの SQ908 という部品のおかげと言えるわけです(全部とは言いませんが)。
さて、実は VQ1005/Genie III 同様、SQ908 チップを使っている他のデジカメが存在していまして、「真相に辿り着けるかも!」と調べてみました。
まずは、ズバリ SQ908 MEGA-cam という名前のデジカメ
SQ908 MEGA-cam 3.0MP USB Pocket Digital Camera
49.99 ドルで販売されていたようですが、現在は在庫なしです。
スペックを抜粋すると、300 万画素 CMOS、0.9 インチ液晶、16 MB 内蔵メモリ、といった感じで、SQ908 という名前を持ちながらフラッシュやカラー液晶ディスプレイを持ち、画像解像度等々...どれをとっても VQ1005/Genie III とは別物です。
ちなみに価格は 49.99 ドル。MADE IN CHINA。
以下はウェブ上で見つけたこの SQ908 MEGA-cam で撮影された写真の EXIF です。
撮影日は 2005 年 9 月と 10 月でした。
VQ1005/Genie III と同様、カメラ名が SQ908 MEGA-Cam でありながら、解像度が 2,304 x 1,728
それでも周辺光量の落ち具合に VQ1005/Genie III 的なチープさが垣間見られます。
こちらも解像度は 2,304 x 1,728
そして、「フラッシュ使用」が記録されています。ヤギの目光りまくってます。
もう 1 つ。
Digital Concepts Digital Camera
39.44 ドル。相当酷評されているカメラのようですが...
スペックを見る限り、上記 SQ908 MEGA-Cam とも違い、OEM でもなんでもない感じです(※このカメラで撮影された写真の EXIF でカメラ名が SQ908 MEGA Cam であることを確認しています)
この 2 製品。いずれも約 3 メガピクセル(300 万画素相当)なんで、「ん?SQ908 チップ搭載の VQ1005/Genie III は 130 万画素だよな。で、同じカメラ扱いって変じゃ?どういうこと??」と思われるでしょうが(特に思わないかもしれませんが)、SQ908 チップは 130 万画素、200 万画素、300 万画素の CMOS センサー対応なので(SQ Tech 社:SQ908 チップの特長)、画素数が違うカメラなのに同じカメラ名ということがあり得るようです(ややこしや©なだぎ)
さて、Flickr には VQ1005/Genie III と同様、EXIF に SQ908 とある、別々のユーザーさんによる 2 枚の写真がアップされています。
「いずれも撮影日が 2005/2/1 だから、VQ1005 でも Genie III でもないよな.....。何なんだ?」というのがそもそもの始まりで、もしや VQ1005、Genie III の先祖の Veo?それとも SQ908 MEGA-Cam?それとも... と興味の矛先が行ってしまい、問い合わせし、待ち状態だったんですが結果的にはノーリプライで成果なしでした。
この時点では、EXIF 内のメーカー名に SQ Tech、カメラ名に SQ908 MEGA-Cam とある場合、VQ1005、Genie III、Veo the Mini Capture、上記 SQ908 MEGA-Cam、上記 Digital Concepts Digital Camera と5つの選択肢が浮上していました(というか、ホントどうでもいいことですけど!!笑)
見分けるのは撮影日、フラッシュの有無、解像度あたりになりますが、撮影日が 2006/7/5(VQ1005)、2006/3/13(Genie III)以外の VQ1005、Genie III がもしや存在するかもしれないという説がまだ拭えない状況でした。
★ VQ3007 も.....
ここ数日の Flickr で判明しましたが、VistaQuest VQ3007 も SQ908 チップ使っていました。
悲しいかな、VQ1005/Genie III 的な写りではない感じです。
(参考:Flickr VQ3007 タグ、タグはないけど VQ3007)
EXIF による撮影日は、2007/8/29。
あまりに最近でビックリ!SQ908、多分内部的なバージョンのみ継続してあがってるんですね。もう SQ908 ってキーワードを共通項にするのも無理な感じが.....。混乱するんで製品名いい加減変えてほしいものです(笑)
話がラビリンス状態ですが続けます(笑)
そもそも SQ908 チップというのはいつから存在していたのか?
SQ Tech 社の SQ908 に関するユーザーガイドの作成日は 2004/9/24(最初のバージョン 1.0 が 2004/7/9 にリリースされている)
もう少し調べてみると、2004/11/12 に以下のようなプレスリリースが出ています。
社内・パートナー向けと思われる技術文書が 2004 年に、「新製品です!」というニュアンスの展示会での紹介が 2005 年に。もちろんこの時点ですでに各種デジタル機器へ使われていたかもしれませんが、少なくともそれも 2004 年以降の話だろうと推測できます。
このことから察すると、2003 年にリリースされたと思われる Veo the Mini Capture 開発の際にはまだ SQ908 は存在せず=Veo the Mini Capture には SQ908 チップ が使用されていないということになります。
となると、Veo the Mini Capture は形体は酷似、というか同一、というか元祖(オリジナル)ながらもスペック的には VQ1005/Genie III とはまったくの別物と考えていいかも、という考えに達しました。
ということは、Veo the Mini Capture で撮影した写真は今まさにその独特の描写でユーザーを増やしている VQ1005やGenie III とは違ったものであろう、そして、EXIF 内のカメラ名は SQ908 MEGA-Cam ではないだろう、ということになります。
そして、この事実と微妙に符号する情報がまさに今 2008 年 3 月に入ってきたのです。
新しい(筆者の推測では中身は古い)Genie III の存在です。
新しい Genie III ユーザーさんが調べた EXIF 内のメーカー、モデル名、撮影日時は以下。
メーカー名がズバリ Veo。
撮影日が Veo the Mini Capture 開発終了もしくは販売開始の 2003 年(ちなみにVeo the Mini Capture の発表は 2003/10/7)
これを見たとき、愕然としました。先祖帰りなのか....!?
前述した内容を考慮すると、Veo the Mini Capture の EXIF がまさにこの新 Genie III の EXIF とまったく同じなのではないかと。
そして、その新しい Genie III のユーザーさんが中を開けてみたところ、搭載しているチップにはやはり SQ908 という文字はなく、Xirlink という文字が記載されていました。
Xirlink というのは、以前書いたように Veo 社の古い社名です。
ここでまた Veo の情報を割り込ませます。
Veo 社が今存在しているのかどうかいまいち分かりませんが(veo.com は少なくとも機能していない)なぜかトルコ Veo 社に情報が辛うじてありました。
Veo the Mini Capture の定価は 69.99 ドル(2008/3/29 時点 7,000 円 相当)
この時代だと妥当な線ですかね(今このスペックでこの値段許されませんけどw)
Veo について初耳な方は是非VQ1005 の真相を。
home(らしきトルコ語をクリックして)へ行くと先へ進めないので、過去の歴史的遺物が取り残されてるんじゃないかと....カタログ PDF リンク切れだし...。
上記ページの仕様には解像度: 1,600 x 1,200、1,280 x 960(ノーマル)、 640 x 480とあります。
新 Genie III のノーマル解像度も 1,280 x 960 のようです。
VQ1005/Genie III のノーマル解像度はご存じの通り 1,280 x 1,024
このへんの違いも肝心の描画チップが違うからこそかと思われます。
話をまとめてみます。
勘のいい方は筆者が何を言わんとしているのか察していただけるものと思います。
まったくの個人的な憶測に過ぎませんが、
新しい Genie III は Veo the Mini Capture (2003) ではないのか?
と。
電池のもちがよくなったという情報もありますので、すべての部品が Veo と同じか違うのかそこはまったく分かりませんし、もともと Veo 自体 VQ1005/Genie III より電池のもちがよかったのかもしれません。
Veo the Mini Capture の EXIF が新 Genie III と同じだったら点と点が線に....、という塩梅です。目論んでます。
最近ブログでも書きましたが、手に入ることなどないと思っていた Veo the Mini Capture が台湾のオークションに新品で数十台出ていました。昔の話でなく、 2008 年 2 月の話です。
そこに挙がっている 2 枚の写真。周辺光量落ちも若干確認できますが、やはり新 Genie III が当初表されたように「普通のデジカメ」っぽい写り。
残念ながらオークションの方はすでに終わってますし(&日本から入札さえできませんが)、なんで存在してるのか?(上記 Veo のプレスリリース内に台湾に Veo の支店、工場があったことが記されているので米 Veo 経由でなく、台湾工場からの流れと勝手に推測してます)まだ手に入る可能性はあるのか?など出品者に聞きたかったですが、台湾在住でないと登録できないシステムのため、それすら叶いませんでした。
ただ、可能性はあるんで、あちこちでヘルプミーをお願いしています(笑)
そうそう、同じ出品者が別の Veo 製品を出品していて、そこになぜか Veo the mini Capture の質問と回答があります。
これによると、
「Veo the Mini Capture の前回の 2,000 台は完売で、次を待っている状態だ。しかしいつってのはなんとも言えない。Veo the Mini Capture II(ツー)を開発中って話もあるよ。」
とのこと。II って言ってるのが今回の Genie とか?それは飛躍しすぎか。
回答自体が 2008/3/2 という、つい最近のことですが、その 2,000 台はいつの話だとか、ツッコミたくてウキウキしますが、ま、手に入る時は入る時、入らない時は入らないてなわけで、天に任せます。
新しい Genie III やユーザーさんに対して新しい Genie III (Genie Veo バージョン)を悪く言うつもりは毛頭ありません。筆者が、追っかける必要もないのにずっと追っかけてきた謎(笑)へのいつも行き過ぎな探求心がそこにあるだけで、それ以上でも以下でもありません。
今回の番外編を入れ、全5回でお届けしました VQ1005 の真相。最終的には「VQ1005、Genie III、Veo the Mini Capture、Veo 社チップ搭載 Genie III の真相」という歴史絵巻みたいになりましたが、知れば知るほどやっぱり妙に魅力を感じてしまうカメラだなと思います。
国内に限らず、世界的にも入手が容易ではない状況ではありますが、一過性のものでなく、長く愛されるカメラであってほしいなと、ということで一旦(完)