Minimo。
そのいたくポップな響きを最初に目にしたのは 2008 年 10 月。
(だいたい、ブイキューイチマルマルゴーとか親しみにくいし。そんなん求めてないって?)
Flickr の VQ1005/Genie III(現在名称は VQ1005,1015/Genie III に変わっている)グループの新しいトピックとして、とあるマレーシア在住のユーザーが写真とともに紹介した時のことでした。
ドットベースのフォント含め、一目で心躍ったことはこの際ナイショにしとくとして、
間違いなくウィーン発の Lomo 関連と何ら関係ないだろうと静かにツッコミ入れる筆者の声などまるで無視するかのように、パッケージ(ブリスターパック)には見ての通り、堂々とこう書かれておりました。
おまけにカタカナで「デジタルロモ」とまで、これ見よがしに主張なさっておりました。
Lomo を取り巻く現在の団体や状況に特に思い入れはないものの、Lomo 社の LC-A というカメラは大好きだし(といっても普段LC-Aなんて呼ぶことはないですがw)、当初 VQ1005 を入手した際、ウソかホントかはともかく「ロモのデジカメ版」としてプロモーション展開すれば面白いムーブメントになり得るかも、なんてひっそり考えたりもしたので「とうとうきたか」という思い(ある意味ちょっと残念な、複雑な)でした。商売って考えればアリというか、当然の成り行きにも思えたりして。
そんなわけで、購入予定はなかったんですが運良く購入しちゃったので、minimo についてアレコレ書いてみようと思います。
上記初お目見えの際、実はまだ発売前のプロトタイプだということでした。写真の EXIF によると撮影日は 2008:08:06 だったので、新型 VQ1005 が再生産(新型なんで再生産もおかしいですが)されていた頃、すでに計画中だったのかもしれません。
のちに知ったのですが、そこから遡ること一月ほど前、2008 年 9 月に海外のとあるウェブサイト上でこれまたマレーシアの方(Flcikr で紹介した方と同一かは不明)が minimo を紹介し、すでに RM*200、RM240(1GB SD カード付)で個人レベルで販売を始めていました。ちなみに当時のレートで RM240 は約 7,000 円。
* RM= マレーシア通貨リンギ
その後、Flickr で直接尋ねたところ「まだ minimo はリリースされていないんだ。でも早いうちに日本でも販売されるだろうって思ってる」的な回答をもらい、ブログにもたしか書いてましたっけ。
年も明け、VQ1015 Entry が発売され、しばらく Minimo への関心は消えていたんですが、どうにもこうにも日本にやってこないんで、「欲しい人メッセージちょうだいな」とちょくちょく Flickr にポストしていたユーザーに試しにと直接聞いてみたところ、やはり送料別で 7,000 円くらいはすると言われ、スルーしておりました。
最終的な EXIF では 2008:10:09 となっており、2008 年 10 月リリースといったところでしょう。
いつから日本で販売開始されたのか分かりませんが、SNAP! 別冊トイデジ Lovers! の取材時にお聞きしたベルトゥワイスさん(2009/4/11現在改装中)が最初だっただろうと思われます。
そんなわけで minimo はマレーシアのどこかの企業か個人による製品だと思っていました。
現在分かっているのは Pocket Arts Pte Ltd というシンガポールの会社が minimo のオフィシャルサイトをかまえ、販売などを行っているということです。
実は Minimo のパッケージには ©2009 WINGroup(www.mini-minimo.com)と記載があるんですが、飛んでみると Pocket Arts になります。
ちなみにこのドメイン(pocket-arts.com)2008 年 11 月末に取得されているんで(探偵かオレは)、マレーシアの会社(WINGroup? or 個人)で計画→シンガポールへ拠点移し、会社設立なのかもです。いずれにしろ、割と最近の話ですね。
なぜか 2009 年 3 月 11 日付 CNET では「Minimo は、とある日本の会社が考案したもの」と書かれていたりしますが.....。
東アジアひとまとめな、よくありがちなアレでしょうか(涙)
さて、Minimo はパッケージ表に「 Digital Lomo/デジタルロモ」だとか「TUNNEL EFFECT(トンネルエフェクト)」などと印刷されているわけですが、最初に「おお、やるな」と思ったのは外観に微妙なマイナーチェンジを施していた点です。
具体的には、下図(↓)のようにフォーカスレバーの箇所にあるポートレート(近景)<->ランドスケープ(遠景)のアイコンを変えたり、シャッター部分に「ココっす」と矢印アイコン足してみたり(本体こっちにひっぱれよ〜かな)、権利所有者に「(たぶん)断りなく」というのは差し引いても Lomo イメージを生かすべく、がんばりました感がみてとれたわけです(好みは別として)
VQ1005 VQ1015 Genie III | Minimo | Minimo |
そして、Pocket Arts 社のサイトに「 Lomo LC-A や HOLGA と Minimo の違いって何?」といった FAQ が用意されていたり、製品仕様に「Lomo dark spot effects like Holga」(ホルガのような四隅が暗くなるロモ効果:多少謎な原文そのまま訳)とあるなど、ユーザーやショップレベルでなく、メーカーが直々に Lomo を意識し、そのイメージを前面に押し出した初のケースということで、好き嫌いはともかく気になる存在だったわけです。
2009 年 3 月のとあるレビュー記事ではご丁寧にロモの例の 10 ヶ条まで記載の上(個人的に「Don't think!」が好きだが)「Minimo は LOMO の新製品である」とまで書かれています。
しかし、Pocket Arts 社の 2009 年 3 月 13 日付のニュース(いわゆる What's New 的な)では
LOMO、LOMOGRAPHY は Lomographische AG(ウィーン) の所有する国際的に保護された商標であり、Pocket Arts の製品(筆者註:つまり Minimo や wonderlens)は LOMO、LOMOGRAPHY と何ら関係ございません(以下略)
とあり、本家 Lomographische もしくはユーザーからクレームというか、軽く警告(イケマセンネエ or ロモショップデカエナイノ?)があったんではないかと筆者勝手に想像しております。
しかし「ですので、以降 LOMO、LOMOGRAPHY などの商標は使用いたしません」じゃないところがコワイもん知らずというか、なんというか(笑)
パッケージに「Limited Edition」とあったり、日本でも「限定販売」と常に記載されているのは、もしかしたらその変のリスクを想定してのものだったかもしれません(やったもん勝ち論理)
「大して作ってませんし、現在ある在庫はくだけなんすよぉ。いやいや、ロモさんの販売やイメージに何ら影響ないよう最善尽くしますんで、どうか穏便に.....取り計らって...」
「販売経路を北米、欧州などに拡大したり、製造を再開するとなると申し訳ないけどこれ以上目つむれませんぞ。くれぐれもロモにマイナスイメージ与えないようたのんます」
ってなやり取りがあったのか、あるのか知りませんが、あって不思議じゃないなと。
※全然関係ないですが、Pocket Arts 社のウェブサイトって全 Flash なんでコピペもしづらく、ややつらいです(笑)
Minimoは 200 万画素、と謳われていますが、実際購入して確認したところ、 VQ1005 や他のファミリーと変わらないように思います。
と言っても「Minimo は 200 万画素じゃない!!」というのも正しくありません。
.... はて?どゆこと?
VQ1005 にしろ、VQ1015 にしろ、130 万画素のカメラなんで 1,280 x 1,024 ピクセルの写真が撮れますが、画素補完というカメラによる内部処理によって、200 万画素(1,600 x 1,200)写真も記録できるわけです。
Genie III のボディに 2 MEGA Pixels(200 万画素)とあって、当初 VQ1005 は130 万画素だが、Genie III は 200 万画素か!?という話も出ましたが、これは多くのデジカメメーカーのカメラの仕様に記載されている「有効画素数」「記録画素数」の違いということです。
つまり、こう
VQ1005、VQ1015、Genie III、Minimo いずれも
「有効画素数」は130 万画素
「最大記録画素数」は 200 万画素 *
* 2007/7 版、2008/4 版の新型 VQ1005 は300 万画素
Minimo のパッケージにも「1600 x 1200(interpolation to 2M)」と記載があります。()内は (200 万画素に補完しまっせ)というものです。
さて、いったいその「画素補完」ってなんじゃい?というところですが、補完方法はメーカーやカメラによって違うようで、VQ1005、Minimo に関してはいずれも 1,280 x 1,024 のデフォルトの写真の下部分 64 ピクセルをざくっと切り落とし、一旦 1,280 x 960 にし、それを 125 % 拡大。結果 1,600 x 1,200 サイズで保存されているという塩梅です。
拡大といっても 1 ピクセルのサイズは変わりようがないんで、拡大した際抜けが出て、その抜け部分を隣りなど似かよったピクセルとかで埋める、これが補完ということなんだと思います(すいません、専門家じゃないんでこんなとこでいいでしょうか)
(2009/4/12 追記)いや、1ピクセルのサイズが変わりようがないって違うか....。分かりません。すいません!
誤解を恐れず言えば、200 万画素(1,600 x 1,200)の写真は標準モードで撮った写真の情報を減らして、大きく見せているというややネガティブな結論に行き着きます。
あ、こんなこと筆者レベルでは解明できません。このカラクリは某 SNS VQ1005/Genie III コミュ内の N 氏が検証し、回答いただいたものです。感謝!!というかすごい!
「ホントか〜〜???」って方、是非お試しあれ。一応筆者もやってみました(笑)
画素数がデカイほどいいカメラだ、という風潮が少なくとも存在する中、できるだけ大きい数字を使う手法が普通にあるので minimo はこれを使った、だけの話でしょう。
そして、VistaQuest 製品は総じて有効画素数をカメラ性能としてXXX 万画素と謳っている(つまり VQ1005 は 200 万画素とも言えるが、正直に(?)130 万画素としている)だけの話というわけです。
そんなわけで、Minimo が VQ1005 や他ファミリーより高性能のレンズを使っているだとか、相対的に高品質な写真が撮れるということではないようなのでご注意。
この論理でいっちゃうと、新型 VQ1005(2008/8 版、2008/10 版除く)は最大記録画素数 2,480 x 1,536 なので「300 万画素となって生まれ変わった VQ1005 登場!」なーんてメッセージすることも間違ってはいないんですね。ややこしい〜
ちなみに、別の記事では「Minimo は VQ1005 や Genie III と違って、より大きなレンズを採用している」とこれまたよさげな印象で書かれていたりしますが、これは新型 VQ1005 の一部や VQ1015 Entry 同様のサイズのレンズを使っているということで、ご理解いただけそうな気がします。
※画素補完って Google だと画素補間よりヒット数多いんですが、どっちが正解??
日本のショップさんでもレンズとのセット販売してますが、Pocket Arts 社のサイトでは Minimo 単体販売に加え、4 種類の着脱式レンズ「wonderlens(ワンダーレンズ)」(ネーミングがモロロモっぽい。。)込み、2GB SD カード込み、wonderlens のみという 4 パターンが用意されています。
単体の値段は 118 シンガポールドルということで、約 7,100 円。
筆者が最初に知ったマレーシアリンギ(RM240)同様、定価は約 7,000 円だろうことが分かります。
リンク消えてますが、日本でも個人輸入された方がいまして、その方は送料 1,200円 くらいで計 8,200 円ほどでゲットされたようです。
日本では、ベルトゥワイスさんが発売開始したものの在庫なし状態が続いており、現在入手可能なショップはプレミアムギアさんくらいですかね。
筆者もココで買いました。送料別で 9,500 円。た、高い.....ですが。。
なんとなく分かるかと思いますが、やはり最後の最後まで価格に躊躇しました。
元が 7,000 円くらいする製品なので、日本のショップさんには罪はないんですが、元の価格設定が狂ってます(笑)
調べたところ、台湾のユーザーさんが 24 台ほどまとめ買いをして、ウェブ上でなごやかにやり取りしておりましたが、2500 台湾ドル(約 7,200 円)でした。
まとめ買いすると割り引いてくれるらしいのですが、それでも安くはない、という印象を受けます。
(1)VQ1005(旧型)が手に入らない、(2)再生産された VQ1005(新型)は写りが変わってしまった、という中(まだ VQ1015 Entry/Classic が世に出てなかった頃の話なので)、「 LOMO 」というキーワードを使い、華やかに展開すればいけんだろ〜てな計算はあったかろうと思うのですが、その計算がどうしても見えてしまい、苦しみました(笑)
旧型 VQ1005 や Genie III をまとめ買いで海外から輸入してた頃、送料込みでだいたい 4,000 円ちょいでした(現地では約 2,000 円ちょいだったわけで)
VQ1015 Entry もそのあたりですね。
Minimo はそれらの倍以上するわけです。
いやいや、Minimo にしか出せない描写があるかもしれません。どこにお金を払うかもそれぞれですしね。実際の写真比較は次ページ(しばらくお待ちください!)にて。
ちなみに Minimo、いつまで販売されるか分かりませんが、現在のところ、マレーシア、シンガポール、台湾、香港、日本に出回っているようです。
そうだ、Lomo LC-A も Lomographische とは別ルートの、オリジナルというか、旧ソ連軍から流れてくるものは断然安かったですね(筆者所有は Lomographische 経由ですが)。そこにポップなアイコンや Agfa のフィルムや写真集(今もあるの?)+諸々の情報が付いて、それが付加価値となって価格にも反映されたって経緯を考えれば、Minimo が倍の値段ってのも別におかしな話じゃないのかも、なんて。
いや、高いっすよ、高いことは高い。
どうまとめようか、なんて考え始めとりあえず進めましたが、いや長い!
ホント長い!ここまで読んでくださった方ありがとう!比較写真もがんばります。