石巻レポート(2011/4/18-23)

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4/20(水)

AM4:30頃起床。

早寝だからもあるが、大概寒さかトイレ行きたくて目覚める。

雪がやんでいて一安心

休憩所近くの芝に雪だるまがあった。おそらく避難所の子供によるものだろう。




その時間すでにちらほら起きている人がいて、喫煙所で日課の情報交換。

雪でつぶれたテントが結構あるとのこと。


ピースボートに長靴を借りにいくが、昨日の雨、雪で足まわりがべたべたなため、ほぼ裸足で借りに行ったら寝床スペースを独断で貸してくれたSさんが「あらら〜!ちょっと待って。新品出すよ!」と言ってくれるもそんなVIP扱いはあり得ないしと丁重にお断り。

Sさんには最後の最後まで本当にお世話になった。感謝しきれません。


AM8:30受付。

今日はほぼ昨日と同じメンバーだが、車何台かに分かれていくことになる。

僕の乗った車は横浜からのYさん車。

Yさんは実は前日火曜午前10時頃すでにボラセンに到着していたものの、受付時間を過ぎていたため今日の作業はないと言われ、丸一日何もすることなく車の中で過ごしたという悲しい過去を持つ。

ボラセンのホームページにボラセン開所時間は9時〜16時とあるが、作業の割り振りは基本朝8:30からの受付時(新規だけでなく、継続も毎日受付をする)であり、今後行く方は要注意です。僕みたいに前日入りするか(寝床確保方法は真似しないで下さい)朝一到着がオススメです。関東から車なら、夜出て、仮眠とって、そのままボラセン入る手はあるでしょうね。

特にルールがあるわけじゃないんで、例えば僕がいたような個人寄せ集め団体が作業しているところへ直接行って「何か手伝えることないですか?」と言えばできそうな気はするけど、初めて来て情報なしでそれは難しいですよね。


いずれにしろ大事なのは情報収集です。

個人で行く場合、自分から足使わないと何も得られません。そういう意味では喫煙者にとっての喫煙所は最適なんだけど、吸わない人が集まれる場所はないんで吸わなくても喫煙所に行けたら行くことをオススメしたいです。

複数人でテント使ってる人は用事がなければ出てきませんし。

それともう一人Yさん車に同乗したのはボラセンから車で10分ほどの実家から来ているSさん。

寡黙な青年だけど、期するところあるんだと思う。

同じ石巻でもうちは大した被害じゃなかった、と自責の念にかられてないことを祈るばかりである(ツイッター見ててもそういう方結構いますし)


Aさん宅到着後、昨日のつづき作業。

今日で石巻最終日のKさんが昨日の風呂で若者2人をスカウトし、1日限定で2人の助っ人を得られた。「明日暇?1日手伝ってよ〜」とか言ったんでしょう。人手は多くて困ることはないです現時点では。こういった柔軟な対応も個人ベースのボランティアならではでしょう。

但し、班長がコントロールできる範囲内ならという条件付きだとは思います。班長は町内会長と調整したり、ボラセン側と調整したり、なかなか一箇所にはいられない。昨日まで僕と同じ立場だった人がいきなりそういう役割を持って、夜遅くまで作業の進捗含めミーティングを行っている。湯水のように消えていく土嚢袋の調達もスムーズな作業には欠かせない。


僕は昨日ジーンズで動きにくかったがユニクロで買ったスエット時のパンツ含め全体的にバージョンアップし働きやすくなっていた。

家(1F)の中の泥出しは昨日終わっていて、タンスの中の泥出し。完全に閉まった状態のタンスにどうやって水が侵入するんだ?と思いながらもせっせとかき出し、土嚢袋に詰め、捨てにいく。思ったが、もう3.11から5週間経過しているので泥も固まっているものが多い。固まっているからこそ処理しやすい。一刻も早くキレイに、を当然求められるとは思うが固まった泥の方が作業効率がいいというのもまた事実だ。

タンスの中にかかっている洋服の下の部分のみ若干泥で汚れているキレイな洋服なんかは念のため、Aさんに確認したりして。

雛人形が出てきた。この時点でAさん一家の安否はたまに顔を出してくれるご夫婦以外分からないので複雑な思いで引っ張りだす。

できればケースごとキレイに捨てたかったが、周りのガラスを外そうということになり、外す。

それからお内裏様など1体(つ)1体(つ)のパーツを取り出し、ケースを持ち上げようと思っていたら残っていたガラスをがっつりつかんでしまった。クリスマスの飾りのライトなんかも出てきた。

こういった一つ一つが蓄積され、僕はAさん一家の歴史のほんのわずかな部分に関わり、Aさん一家の一員になったような錯覚をおこがましくも感じるようになる。みんなもそうかもしれない。去った後もいつかまたここを見に来るとみんな感じているんじゃないかと。

家の裏手では思いっきり釘を踏んだが、隣の隣の方が消毒薬を持っていてかけてくれ、絆創膏をした。

家の外壁の鉄製の板などが剥がれていたり、泥の下にいろんなものがあるので本当に注意深く進めないとケガをする。特にガラスと釘は注意だが二日目にして一気に両方クリアしてしまった。

家の裏のガスボンベの下にどこかの電子レンジが挟まっていて、ガスの元栓がしまっているから問題ないとは思うが動かしていいのか、など判断に迷うこともあった。ある程度自己判断で進めないといけないわけだがガスとなるとさすがに慎重になる。


津波でほぼ浸水している1Fだが神棚は無傷だった。

お風呂、トイレのヘドロのかきだしはこれまた凄まじかった。これも土嚢袋に入れ、1つ1つ外へ捨てにいく。トイレには20cmものヘドロがびっしり固まっている。陶器ベースの洗面台は窓を破り、今にも裏手へ落ちそうに留まっている。


表では庭の木にまとわりつくヘドロを手でかきだす。柔らかい粘土のように絡み付いていてシャベルなんかではとれない。気の遠くなる作業でもある。

ヘドロかきだしを手でやるケースは結構あって根気がいるけど老若男女誰でもできます。

一軒のお宅を丸2日10数名がかり、まだ終わりは見えないがこの日の作業を終える。曇りだったと思うが雨が降らなくて幸い。


帰り、みなでスーパーに寄る。

東京ではなかなか見られなかった納豆やプレーンヨーグルトもあり、商品はそれなりに充実している様子。

缶コーヒー、スティックパン、たまごロールなどを買う。中に薬局もあったので一応消毒薬を買ったら、絆創膏をくれた。

試供品ではあったが「足りないかな?」と多めにくれた。どろどろのきったない格好で一目でボランティアと分かるので優しくしてくれてるのを感じる。ありがたい。


昨日からお世話になっている「ふたご湯」。

入って早々の洗い場待ちに10数名の行列ができ、不思議な光景。

しかし風呂に入るといろいろ軽くなり、俄然「明日もやんぞ!」という気になる。久々にお風呂、という避難所の方たちとは比べようもないが、ホント風呂というのはすごいやつだなと思う。


PM7:00すぎ。

今日で石巻に区切りをつけ、明日南三陸へ行くというWさん、Kさんや発起人Uさんが花見をやろうと言い出したが、最終的には軽い壮行会(宴会)という趣きだった。大学構内はアルコール禁止のため、構外にブルーシートを敷いて、お湯を沸かし。

W/Kさんが自衛隊風呂を待っていた仏人エリックとSさん2名にも声をかけ来てくれた(ここで知り合った二人のようだ)。Sさんは福岡から飛行機で羽田を経由して石巻に入り、すでに2週間くらい作業してただろうか、自らだいぶ弱ってると言いながら水を飲んでいた(ノンアルコールは水しかなかった!w)おそらく20代後半あたり。

エリックは持参のパテをクラッカーに塗ってふるまってくれた。Uさんはキュウリにツナ缶のツナを和えていた(翌日昼食時Tさんが同じレシピで再現しみなにふるまっていた)

なかなか野菜が摂れてないんですごいうまかった。

ビールを飲み、僕はTさん持参のカップ麺をいただいた。

とにかく寒いのでキリのいいところでお開き。


寝床の倉庫へ向かうとなにやらいいニオイがする。群馬から避難所やボラセンに無料でふるまって回っているケバブ屋さん(トルコ人らしき男性と女性2名)だった。

隣では違う数名の青年グループがスープをふるまっていた。

宴会で腹一杯ながらケバブはいっときたいと待っている間、スープが勝手に運ばれてきた(笑)苦しみながら全部いただく。いや、しかしありがたいですよ。誰に頼まれるわけでもなく、それぞれが何かしたい、何かできないかって探り探り答えを出し、行動に移しているわけですから。


話前後するが今日作業しているお宅のAさんの話を間接的に聞いたが、Aさんは漁師で3.11のあの時沖にいて、これはまずいと兵庫へ向かったらしい。

何日後に戻ったか定かじゃないがご家族全員無事とのこと。一安心。

就寝は同じく22時台かと思う。

今日は昨日Tさんにいただいた腰シールを忘れず貼った。

この作業をすればおそらく100%の人が感じそうだが、なにより「背筋」にくる。普段使ってない筋肉なんだろう。今から是非背筋を鍛え、備えてほしい(笑)


そういえば、Sさん、Tさん、マチューの3人組が夕飯にココイチに行ってたと思う。1人1,000円まで無料で1,000円超えた分のみ支払うという特別サービスをここのところやっているらしく、2日連続で行くようなことを言っていた。そんな好きか(笑)【続きを読む

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