さて、お待たせしました(別に待ってない?)
VQ1005 の真相、vol.4 の今回で決着をみます。
では、ごゆるりと。
前々回(vol.2)で VQ1005 の EXIF に記録されている「イメージ作成日」の話を取り上げました。
2006:07:05
これが VQ1005 の(ハードウェア上の)誕生日なわけです。
それでは、Genie III の方はどうかと EXIF を見てみます(お持ちの方、すでに知っているかもしれませんが)
2006:03:13
これが Genie III の(ハードウェア上の)誕生日なわけです。
そう、VQ1005 はハードウェア的に Genie III より後に作られたものだったのです。
厳密な言い方をすると、イメージ作成日が異なるということは VQ1005 と Genie III では違った部品を使っているということを意味します(同種類の部品ではあるものの、アップデートされ新しくなったものを VQ1005 に使ったのでは?という可能性が浮上します)
そして、使用している基盤がそれぞれ違っているのも頷けるわけです。
つまりは、Genie III の方が 4 ヶ月ほどアニキということになり、これまでの認識が覆されることとなります。
と言うことは、Genie III は VQ1005 の OEM ではないわけです。
OEM というのは、通常オリジナルがあって、そのオリジナルを OEM する、分かりやすく言い換えると、オリジナルと同じものを名前や価格や販売方法等々を替えてリリースすることを指します。
さらにこれを裏付ける証拠を 2 点。
VQ1005 にも Genie III にも付属 CD が付いています。
その CD 内のファイルのタイムスタンプ(日付)を見ると以下になっています(ってMacOS 9かよ!↓)
CD は 1 年ほど Genie III の方が先に作成されています。
Veo は 2003 年に出てますから、2005 年に作成された Genie III 用の CD は Veo の使い回しではない、と言えますし、当然、のちに完成する VQ1005 用の CD を使い回すことは不可能です。
Genie III はハード的には付属 CD 完成から 1 年弱のちの 2006 年 3 月まで開発が続けられているんで、この CD がマスターになった背景はちょっとナゾが残りますが(仕様は CD 作成時に固まっていたが開発が遅れた、という推測はできますがあくまで推測に過ぎない)、それは話が逸れるんで追求しないことに。
VQ1005、Genie III いずれもマニュアルの 3.2 Camera Settingsの1.Resolutions のアイコンを見てみてください。
Genie III の方は、High(高解像度)と Normal(標準)のアイコンが逆になっています(間違っている)
VQ1005 の方は上からシールが貼ってあり、明らかに訂正が入っています。
VQ1005 は Genie III リリースより後にマニュアルを修正し、リリースされたと考えるのが自然でしょう。
但し、マニュアルには通常コピーライト(著作権表記)や作成日(最低でも作成年)などの記載があるのですが、Genie のマニュアルに Bell and Howell の表記や作成日などの記載はなく、Veo で使われたマニュアルをそのまま使った可能泥があると読んでます。 それでも VQ1005 より前に出荷された証拠とはならないわけですが、実際販売されたかどうかはともかく、製品出荷時に必要な部材は VQ1005 より以前に Genie III の方が揃っていたと考えるのが自然です。
Veo が手元にない以上、Veo 自体が作られた時期は定かではありませんが、出荷自体は 2003 年後半だっただろうという見方でいいかと思います。
次いで、付属 CD 作成完了(2005/4/21)、本体開発完了(2006/3/11--EXIF)の Bell+Howell Genie III がスタンバイ(発売開始時期は不明だが)、そして最後に、付属 CD 作成完了(2006/5/19)、本体開発完了(2006/7/5--EXIF)の VistaQuest VQ1005 がリリースされただろう、というのが筆者が辿り着いた真相です。
Veo 社と Bell and Howell 社、Veo 社と VistaQuest社、Bell and Howell 社とVistaQuest 社の関係がまったく分かりませんので、憶測だけで可能性を探ると、
と見るのが正しいのかもしれません。
Genie III については、一応 Genie III という製品名を持ってはいるものの、マニュアル他各所で Mini Capture という表記を見かけます。Genie III が VQ1005 のではなく、Veo の OEM だとしたら、これまた納得の行く展開かなと。
仰々しくも、年表にしてみました(笑)
もうアホアホすぎて、
とはいえ、筆者的には名称はどうでもいいです。
紛れもなく、世界的に見て最も普及し、認知されている製品が VQ1005 ですから、仮に Genie III が VQ1005 の OEM ではないにせよ、これまで通りでいいんじゃないでしょうか。
筆者は名称にこだわりたくて真相に迫っていったわけじゃなく、VQ1005 の一風変わったこの歴史を解き明かして(大げさだな)みたかっただけです。
同一製品が、Veo The Mini Capture → Genie III → VQ1005 と名前を変え(機能的にはこれと言って変わりなく)、元祖と言える Veo から 4 年かけてそれなりに花を咲かせている。
しかも、咲いた花(VQ1005)がいきなりもぎ取られた(生産中止)かと思ったら、アニキ(Genie III)が「なんならオレ咲いてやんぜ」と出たきた、ってのがおもろいじゃないですか!
なんか語っちゃってますが、VQ1005 の真相、筆者が筆者なりに調査した限られた情報を元に結論づけていますので、もちろん何ら公式の回答ではありません。「たぶんこういうことなんじゃ?」程度に思ってもらえると幸いです。
長い長い話におつきあいいただいた方々、最後までありがとうございました!